要介護認定とは、高齢者や障害者などの介護が必要な人に対して、日常生活動作や認知機能などからその介護の必要度やサービスの範囲を「要介護度」という指標を用いて評価し、適切な支援やサービスを提供するための認定制度です。認定を受けることで、介護保険制度のサービスや給付金を利用することができます。
ここでは、要介護認定と認定を受けるまでのながれについての概要を説明します。また、要介護認定について詳しく説明されているサイトもご紹介しますので、ぜひ参考にご覧ください!
要介護度と受けられるサービス
要介護度は、要支援1から要介護5までの7段階に分けられ、それぞれ利用できる介護サービスが異なります。
指 標 | 状 態 | 利用できるサービス |
---|---|---|
要支援1 | ・日常生活をほぼ一人で行える ・立ち上がりや起き上がりに支えや見守りが必要 | 【民間施設】 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 【公的施設】 ケアハウス |
要支援2 | ・日常生活をほぼ一人で行えるが、入浴や調理、掃除などで見守りや介助が必要な時がある ・要支援1と比べ、体を支えるなどの運動機能に低下がみられる | 【民間施設】 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 【公的施設】 ケアハウス |
要介護1 | ・食事や排せつなど生活の基本動作で、一部、見守りや介助が必要になる ・要支援2と比べて生活の基本動作で一部介助が必要になる ・買い物や金銭管理が難しいなど認知機能の低下がみられる事もある | 【民間施設】 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム(認知症の場合) 【公的施設】 ケアハウス 介護老人保健施設(入所期間原則3か月) 介護医療院(医療的ケアが必要な場合) |
要介護2 | ・日常で軽度の介護を必要とする状態 ・食事・排泄・入浴で介助が必要な時が多くなる ・薬の飲み忘れや直前の行動を忘れるなど思考力や理解力の低下がみられることもある | 【民間施設】 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム(認知症の場合) 【公的施設】 ケアハウス 介護老人保健施設(入所期間原則3か月) 介護医療院(医療的ケアが必要な場合) |
要介護3 | ・日常で中程度の介護を必要とする状態 ・食事・排泄・入浴に介助が必要 ・立ち上がりや歩行の他、着替え・歯磨きなど日常生活の全般で介助が必要 | 【民間施設】 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム グループホーム(認知症の場合) 【公的施設】 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設(入所期間原則3か月) 介護医療院(医療的ケアが必要な場合) |
要介護4 | ・日常生活で重度の介護を必要とする状態 ・日常生活を自力で営むことが困難 ・座る・立つなど体位の維持が難しいなど全体的な筋力が低下し、日常生活で全面的な介助が必要 | 【民間施設】 介護付き有料老人ホーム 【公的施設】 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設(入所期間原則3か月) 介護医療院(医療的ケアが必要な場合) |
要介護5 | ・日常生活で最重度の介護が必要な状態 ・ほぼ寝たきりとなり歩行や立ち上がりが出来ない ・介助なしには生活ができない | 【民間施設】 介護付き有料老人ホーム 【公的施設】 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設(入所期間原則3か月) 介護医療院(医療的ケアが必要な場合) |
要介護認定のながれ
- ステップ1市区町村の窓口または地域包括支援センターに相談する
要介護認定を受けたい事について相談しましょう。認定に必要な条件や提出物、ながれについての詳細を把握し提出書類を準備します。
- ステップ2申請書を提出する
市区町村の窓口に申請書と必要書類を提出します。郵送でも提出可能です。認定調査員が自宅を訪問し、心身の状態について本人や家族から聞き取り調査を行います。また、本人心身の状態について、かかりつけ医に意見書を作成・提出してもらいます。
かかりつけ医による主治医意見書の作成・提出について申請書に記入したかかりつけ医に対し、市区町村が意見書作成を依頼します。
意見書を作成してもらう医師に予め介護認定の申請をすることを伝えておくと、意見書の作成・提出がスムーズになるようです。 - ステップ3訪問調査を受ける
市区町村の担当者から連絡が来ますので、訪問調査日を決めます。
訪問調査はご自宅の他、入居施設や入院している病院などでも行う事ができます。訪問調査では、本人の生活状況・日常生活動作(ADL)・認知機能と、同居している家族から見た本人の様子などについて聞き取りが行われます。訪問調査は家族も同席しないとダメ?訪問調査で家族の同席をお願いされる場合があります。というのも、介護認定を受ける本人が必ずしも自分の状況を正確に把握できているとは限らず、間違った認識で応えたり、「自分の事を自分で出来ないなんてみっともない」と嘘をついたりするなど、本人の聞き取り調査だけでは本当に必要なサービスを提供するための評価ができない場合が数多くあります。そのため、実際の本人の状況を確認するためにも家族の同席が必要だと考えられています。
- ステップ4認定結果の通知を受ける
要介護度の判定結果の通知書と新しい介護保険被保険者証が送付されます。これで要介護度のレベルに応じた介護サービスを受けることが可能になります。
判定結果は、原則30日以内に市区町村から通知されます。
要介護認定について知るのにおススメのサイト
要介護認定とは? 8区分の詳細と介護保険、申請の流れについて専門家が解説 / なかまぁる
https://nakamaaru.asahi.com/article/14676825
要介護認定を受けられる条件や認定のための審査項目、申請から通知までのながれ、介護レベルが認定された後介護サービスを利用するまでのながれやお金のことなどについて説明されています。
「要介護認定って何?」「介護サービスを受けるにはどうしたらいい?」と思った時、認定についての概要を把握したいと思われる方におすすめの記事です!
介護保険の認定調査とは / 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-hoken/nintei-chosa.html
要介護認定を申請する条件やながれの他、認定調査で行われる聞き取り調査票(PDFファイル)へのリンクが掲載されています。訪問調査でどのような事を聞かれるのか予め知る事が出来ます。
また、この調査票は、自分が高齢である場合は自分の身体のチェック表として、高齢の家族がいる場合は身体機能の観察の参考に使用できると思いますので、おススメです!
要介護認定で必要な支援・サポートを受けましょう!
要介護認定の手続きや審査には時間と手間がかかりますが、高齢者や障害者の生活をサポートするため、また、必要な支援をもらうための大事な制度です。要介護認定は定期的に再認定が必要ですが、これも身体・生活状況に応じたサポートや支援を受けるための大事な手続きです。
介護を受ける本人とその家族の生活の質向上のためにも、積極的に要介護認定の制度を活用しましょう!