事例1リハビリスタッフに謝礼を渡す母

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事例1 リハビリスタッフに謝礼を渡す母

うちの母は、中度の認知症・要介護度2の時、週1回の訪問リハビリを受けていました。

訪問リハビリの日は、リハビリスタッフが来る時間より15分から30分前に家に帰り、リハビリ準備をしていました。
訪問リハビリを開始した当初、母に「今日は訪問リハビリの人が午後3時に来るから準備しててね。」と毎回朝に伝えたり、メモに残しておきましたが、3時になっても庭で草取りをしていたり部屋で寝ていたりしていたので「これはだめだ・・・」と、午後2時半になったら仕事を抜け出して家に帰り、母に準備させることが必要でした。

2時半、家の玄関を開けて鼻をくんくんさせながら粗相をしていないか確認後、リハビリ用ヨガマットを敷き、母に洋服を着替えさせて準備万端。来家したスタッフさんに挨拶をし、体温、血圧測定、直近のばばの様子を伝えた後は、家の用事や仕事をするなど、母達とは別の部屋で過ごしていました。
ある時、母がトイレに行っている時、スタッフさんが「実は、お礼としてこれを渡されまして…」と、母からもらった現金を私に報告&返金してきたのです。
また、別の日には「手作りの鶴の置物を渡されたのですが…」と報告がありました。
母としては、リハビリスタッフさんへ感謝の気持ちを表したい思いで渡したのだろうと思います。

昭和の時代には、お世話になった病院の先生や看護師さんに現金や菓子折りを渡す習わし(?)がありましたが、平成を過ぎ令和の時代、ちょっとしたお菓子ならまだしも「現金はご法度」が通念。ですが、高齢者はいまだ「お世話になったから」「どうにか融通してもらいたいから」と現金や菓子折りを渡そうとします。
いつだったか、骨折で入院中の父を早く退院させられないかというので、「それは病院の先生が決めることで、私たちが決められることじゃないの。」と伝えると、担当の先生にお金を包めばと、ジェスチャーで伝えてきました。「犯罪になるからダメ!今はそれは通用しないの!病院はお金を受け取らないの!」と伝えました。
国公立の病院では医師は「みなし公務員」となるため、治療費以外の謝礼(現金や贈答品)を受け取ると収賄罪になるそうです。
私立病院では犯罪にはなりませんが、医師会の職業倫理指針では「要求は禁止、受け取りは慎むべき」と定められています。また、病院に限らず医療・介護等を行う施設では謝礼の授受を禁止しているところは多いようです。

ネットで調べてみると、特に介護系施設ではよくある事例のようで「高齢者が謝礼として贈答品や現金を渡してくるので困る」「家族に報告し返そうとするが「本人の気持ちなので受け取ってほしい」と拒否される」などの場合もあるようです。
菓子折りや飲み物などの場合は、臨機応変に受け取ったりなどするようですが、本人や家族への返金をどうしても拒否される場合は、医療施設や研究費への寄付として手続きしてもらうなどの方法もあるとのことです(医師の職業倫理指針より)。

私の場合、報告いただいた鶴の置物は古いものだったので処分しました。
現金は、母に返した場合「せっかくお礼として渡したのに私の好意を返された!」とか「内緒で渡したのにチクられた!」とか無用な“いさかい”を起こしかねないので、母には言わず、母の医療用資金にしました。

※参考資料 医師の職業倫理指針

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