「最近ちょっと物忘れが増えたかも・・・」「あれ?どこかに置いたはずの鍵が見つからない!」「『前にも同じ話を聞いたよ』と言われるようになった」といった、前とは少し自分が変わってしまったような、ちょっとした違和感を感じることはありませんか?
これが単なる「年齢のせい」なら安心ですが、もしMCI(軽度認知障害)の兆候だったら?放っておくと認知症に進行する可能性もあるため、早めの対処が大切です!
この記事では、軽度認知障害(MCI)の症状やその対策についてご紹介します。
「なんだか最近いつもと違うな」と思ったら、この記事を参考にぜひ行動してみてください!
MCI(軽度認知障害)って何?
「MCI」は「Mild Cognitive Inpairment(マイルド コグニティブ インペアメント)」の単語の頭文字をとった略称で、軽度認知障害の事を指します。記憶力や判断力など、認知機能が少しだけ低下しており、加齢による自然な忘れっぽさを少し超えているた状態のこと。ただし、日常生活にはまだ大きな支障が出ていない段階なので、症状が出ていても「年齢のせいだから…」と見過ごす人が大多数です。
ですが、この段階で対処すると認知症への進行を防ぐことが可能になります!
MCIのサインに気づこう!
MCIのサインは、日常生活の中に現れます。以下のような症状が現れたら要注意です。
- 最近の出来事や置いた場所を思い出せない
記憶を担う脳の海馬に障害が起きている可能性があります - 身近な人や物の名前が思い出せない
海馬の障害により最近の記憶が保持できない可能性があります。 - 身なりに無頓着になる
認知機能の低下で服を選べなくなったり、着替える行為自体ができなくなっている可能性があります。 - 同じことを何度も聞いてくる
記憶障害や見当識障害(自分がいる場所や時間、誰がいるかなど、現状を把握できない)の可能性があります。
MCIのセルフチェックシートを作成しました。以下のような症状が頻繁に起こる場合は、一度専門医に相談してみましょう。(画像をクリックするとPDFファイルが別ウィンドウで表示されます。)
※このチェックシートは医学的な診断や検査結果を表すものではありません。医師への相談の際に、症状を伝えるための参考としてご利用ください。MCIや認知症の診断には医療機関での検査が必要です。
なぜ早めの対策が必要なの?
MCIは放置しておくと認知症に進んでしまう可能性があります。しかし、早期に発見し、適切な対策をすることで、認知症への進行を遅らせたり、場合によっては防ぐ(改善する)ことも可能です。
少し前のデータですが、日本神経学会が発行した「認知症疾患ガイドライン2017」によると、MCIから健常状態への回復率は「16%~41%」であると報告されています。回復率の数値幅が広いため、さらなる検証が必要かもしれませんが、少なくとも認知障害は軽度であれば改善できる可能性があるのは確かです。
ポイントは「早めに動くこと」。少しでも「あれ?」と思ったら、まずは医師に相談するのがおすすめです。
MCIを知った“今”からできること
「MCI(軽度認知障害)」という言葉を知り、不安に感じている方も多いかもしれません。しかし、MCIは早期発見・早期介入することで、進行を遅らせたり、生活の質を維持したりすることが期待できる病気です。
すでにMCIと診断を受けている方も、そうでない方も、脳の認知機能の低下を防ぐためにできることはたくさんあります。
定期的な健康診断
脳の健康状態を定期的にチェックしましょう。定期的に状態を把握していることで、ちょっとした変化に気づきやすくなりますし、何か気になることがあったときに医師に相談しやすくなります(病院へ行くことや医師に相談することの心のハードルが低くなる)。
人との交流を持つ
人との交流が減って孤立すると認知機能の低下が加速しやすいため、注意が必要です。家族や友人との会話は、認知機能の維持に役立ちます。また、趣味やサークルなどを通じて新しい人と出会い会話をすると脳の活性化につながります。
趣味を持つ
新しいことを学ぶことは、脳を刺激します。本を読む、映画を見る、旅行に行く、料理のレシピを覚える、将棋やチェスをするなど、心が感動することや頭を使う習慣を持つことが大切です。
栄養バランスを見直す
一日の複数回の食事でいろんな栄養素をまんべんなく摂ることを心がけましょう。
「主食(炭水化物)、主菜(タンパク質と野菜など)、副菜(野菜など)、一汁(野菜など)」を意識した献立にすると栄養のバランスがとりやすくなります。
特に、青魚に含まれるDHAやEPAなどのオメガ3系の脂質は体の中で合成できない必須脂肪酸で、脳の機能をサポートする栄養素です。緑黄色野菜やナッツ類もビタミン類や抗酸化作用のある栄養素が豊富で、脳の健康に役立ちます。
質の良い睡眠をとる習慣を作る
熟睡感があり朝すっきりと目が覚めた日は、朝から気分もよく頭もよくはたらく気がします。アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドベータは、人が寝ている間に排出されることが分かっています。質の良い睡眠をとる事でその機能が効率よく働きますので、認知機能の低下防止と機能改善が期待できます。
体を動かす習慣を作る
毎日の軽いウォーキングやストレッチで血流を良くすると脳の働きが活発になります。また、少しだけ息の上がるような無理のない有酸素運動はドーパミン分泌を促し、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドベータの蓄積を防ぐ効果が報告されています。
病院に行くのは怖くない!「もしかして…」と思ったら、一人で悩まずに!
「もしかしたら自分にも当てはまるかも…」と思ったら、一人で悩まずに、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。「病院に行くほどじゃないかも」と思うかもしれませんが、医師はあなたの不安を和らげるための味方であり、大切なのは、早期発見と早期治療です。
専門家による適切な診断とアドバイスを受け、早期に対策を取ることで、これからの人生をより安心して楽しむことができます。あなたが健康でい続けることが、家族にとっても大切なことです。
おわりに:少しでも気になったら今すぐ相談を!
私たちの脳は年齢とともに変化します。でも、その変化に「気づく力」を持つことで、将来のリスクを減らすことができます。
「あれ?最近ちょっとおかしいな」と思ったら、それは行動を起こす合図!まずは家族に相談し、信頼できる医師のもとで検査を受けてみましょう。「何もなかった!」という結果でも安心できますよね。
あなたのこれからの毎日が、より健康で充実したものになるよう願っています!